日本弁論連盟の目的

全国の若人が、それぞれの生活の中で学びとり感じとった事柄を必要な時に勇気と信念を持って正しく相手に伝える技術を磨き、話し方教育の一端としても広く社会の人々に披瀝し、批判と共鳴の中から正しいものの見方、考え方を養い、お互いが明日への成長への資とすると共に、弁論を通じて明るく健全な地域社会の発展に寄与すると共に外国の人たちとも友好親善を深めることを目的とする。

日本弁論連盟会長ごあいさつ

片岡武司
日本弁論連盟会長

  日本弁論連盟は昭和31年(1956年)に発足し、同年に第1回文部大臣杯全国青年弁論大会を大阪府岸和田市で開催して以来、毎年全国を持ち回りで廻り、昨年の第64回大会まで途絶えることなく連続で開催してまいりました。過去64の大会はそれぞれの時代を象徴し、その時代を象徴する顔を持っています。その中で最も記憶に残る大会は、香川県琴平町で開催された第9回大会ではないかと思います。この大会に返還前の沖縄県から出場された大城勲先生の弁論は、聴衆を魅了し、政治家の心を動かし、言葉の持つ偉大な力を証明してくれました。それは審査委員長の東不二彦先生が審査講評で述べられた「大城さん、これまで沖縄の為に何もできなくて本当にすまないと思います。これからは日本弁論連盟も沖縄の皆さんの為に頑張るつもりです。」と云う言葉が総てを物語っています。この第9回大会以降、全国の弁論大会では数多くの弁士が沖縄問題を取り上げ、我が国の世論形成に大きな役割を果たすと共に、沖縄の本土復帰に向かって大きな歯車が動き始めた瞬間でした。この意味に於いて第9回大会は歴史に残る大会であったと思います。

 ここで、弁論とは何かを考えてみます。弁論は作文の発表ではありません。弁論は決められた時間内で問題を提起し、問題点を分析して掘り下げ、解決策を提示して訴える事が基本となります。問題提起に形式はありません。経験から感じた事を、第3者からの助言があって考えた事を、あるいは本を読んだ時興味を持った事とか様々です。聴衆の心を掴む事を意識して、判り易く纏める事が大事です。次に問題点を見つけ出して分析し、それを掘り下げて論理的に説明します。そして結論です。結論は簡潔に具体策を提示して制限時間内(7分、8分あるいは10分)に心から訴えて下さい。もう一つ重要な事は何と言っても発声練習です。単調な発声練習を毎日丹念に繰り返し行い、しっかりとした声を作る事が必要です。私が弁論に携わって55年間の中でここ30年位ですが、発声練習が不足している弁士が年々増えているように思えます。具体的には口の中に声が籠っている現象がみえます。現在はマイクロフォンの性能が良くなりましたので、大きな声を出す必要がないように見えますが、しっかり訓練した声と練習不足の声では、マイクを通すと確実に違いが解ります。発声練習は疎かにされがちですが、丹念に発声練習を続ける事で、確実に技術が向上し自信を持つ事が出来ます。弁士の訴えは耳を通して入って来ます。しっかり訓練した声はご自身のそして皆の期待を裏切る事はありません。基礎練習である発声練習を疎かにせず弁論と真摯に向き合っていただきますようお願い致します。字数の関係で簡単に説明致しましたが、機会があれば詳しく説明したいと考えております。弁論を愛する皆さん、単調で退屈な基礎練習即ち発声練習を毎日行うことで、皆さんのレベルは格段に向上致します。そしてご自身に自信を持つ事が出来、、弁論の素晴らしさを理解していただけると確信しています。

日本弁論連盟役員