第70回文部科学大臣杯全国青年弁論大会 大会報告

文部科学大臣　祝辞

本日、第70回文部科学大臣杯全国青年弁論大会が盛大に開催されますことを、心からお喜び申し上げます。

本大会は、今回で70回目という節目を迎えます。第1回大会が開かれた1956年、戦後10年を経て日本が国際連合に加盟し、国際社会への本格的な復帰を果たしました。いわゆる「神武景気」の下、経済白書に「もはや戦後ではない」と記され、高度経済成長期を迎えた時代に、本弁論大会は始まりました。

それ以来、歴代の弁士たちは時代ごとのさまざまな社会課題と真摯に向き合い、本大会の舞台に立ち続け、自らの言葉で弁を尽くし、聴衆へ熱い想いを届け続けてきました。

このように本大会は、全国から集まった青年が、それぞれの生活の中で学び感じとった事柄を、弁論を通じて、相手へ的確に伝える技術を磨くとともに、適切なものの見方、考え方を養うことで、明るく健全な地域社会の発展に寄与するという、意義深い取組だと思います。

現在、社会や経済の先行きに対する不確実性がこれまでになく高まっています。こうした時代を生きる我々には、生涯にわたって主体的に学び続け、自らの人生を舵取りする力を身に付けることが求められています。

文部科学省といたしましても、このような認識の下、主体的・対話的で深い学びを実現できるよう、教育改革に取り組んでおりますが、既に皆さんは、日頃から弁論の場で、異なる価値観を持つ多様な相手と対話を行い、当事者意識を持って問題を発見・解決する経験を積まれていることと思います。そうした経験を通じ、どのような時代の変化にも柔軟に対応し、生き抜くことができる、持続可能な社会の創り手たる力を身につけた皆さんが、これからの我が国の未来を力強く切り拓いていただけるものと確信しております。

本日出場される皆さんが、日頃の練習の成果を発揮し、多様な想いや願いを存分に主張されるとともに、他の弁士の主張から新たな示唆を得て、更に成長されることを心から願っております。

結びに、本大会の御成功並びに一般社団法人日本弁論連盟のますますの御発展と、本日の経験が皆さんの未来に光を届けるものとなることを祈念して、お祝いの言葉とさせていただきます。

文部科学大臣　松本　洋平